赤鼠、白狐 ver. 2/mizu K
 
がめててんでに千鳥に歩いて人を押す、ビラ男は押されて橋の欄干から手だけひらひら見えていたがやがて消えて、その後の行方はようとしてしれない、そっちのほうじゃないよ、あぶないよ、わたしはとなりの人の手をにぎり、はなさない決心をしていたのだが、いつのまにかはぐれ、まったく知らない人と手をつないでいた、苦笑してあいまいにあやまろうとするが、知らない人は面をかぶっているので表情は判然としない、面の瞳孔にすいこまれる、奥のおくの方まですいこまれる、すいこまれた暗いくらい先から、ほ、と発火、花火が上がる、音もなく、人がいっぱい、もうすぐその橋は落ちてしまうから、だれかの警告も届かない、人がおちる、ひとがおちる、
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