踊り子トマト/魚屋スイソ
黒ずみ、爪の間にはトマトの皮が挟まっている。太腿に手をかけ脚を広げる。女は上半身を捻らせおれから目を背けてはいるものの、それ以上の抵抗を見せようとはしない。弛緩し切った手足が小さく震えている。恐らくこれから起こることを想像し、恐怖と期待の混じった恍惚で思うように力が入らないのだろう。薄ピンク色の唾液が顎を伝って垂れ落ちる。おれは声を出すなよとだけ女に伝え、摘まんでいたトマトを膣口へ宛てがった。首の後ろで交差していた腕が浴室の壁を叩く。爪先を伸ばし、脚の付け根を痙攣させてのた打つが、構わずトマトを押し込んでいく。おれは発光する肉の中に埋もれていくトマトを見つめながら、夢でみた花のことを思い出していた
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