「名」馬列伝(16) サイコーキララ/角田寿星
そんな願いを込めて。
レースは忙しく過ぎていった。
スタート直後、中段よりやや後ろめに位置する。いつもの先行策ではない。
第2、第3コーナーと、いちばん外を大回りして上がっていく。前を塞がれる不利を避ける利点はあるが、余分な距離を走るぶん、脚を使ってしまう。
直線入口では4、5番手。
そこから彼女は伸びなかった。いつもの爆発的な末脚は影を潜めてしまった。
右回りのコースで右ムチを連打する騎手。馬上でステッキの持ち替えができなかったのだろうか、おおきく外にヨレながら、もがくように走る彼女。
4着。敗戦。彼女の前には、それまで彼女の後塵を拝しつづけてきた馬たちが、ゴールを駆け抜けてい
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