「名」馬列伝(16) サイコーキララ/角田寿星
年前のファレノプシスと状況が被る。
負ければ石山騎手には後がないだろう、それが当時の競馬ファンの、率直な見解だった。
が。彼女はモノが違った。
いつもの先行策から早めに抜け出し、普通に1周回ったら勝ったという、楽勝劇。
シルクプリマドンナ、エアトゥーレらの追撃を振り切ってのものだった。2年前と同じ過ちは、とりあえず繰り返さなかった。
そして彼女と石山騎手は、本番の桜花賞に臨むことになる。
例年、桜花賞は4月上旬に阪神競馬場で行われ、その頃は競馬場内の桜が満開になる。
満開の桜の下で行われるレース。「桜花賞」と名付けられた所以だと仄聞している。
桜の木の下で、大柄な彼女の黒鹿
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