響/
 
い声が頭に響く。
“かはは・・・取って喰いやしない。敵かと思って軽く小突いただけだ。ついでだからオレの家まで運んで行ってやるだけだ。その代わり知恵を貸せ。その身なりからして訛偽族だろう?”
訛偽族・・・。
そんな名称の種族を知る人間は表の世にいないはず。祖父にはそう教えられた。
それは、僕自身の族称。僕自身の属する種。
生まれついて回る族称は誰にでもある。それでも、異なる種族に出会うのは一生に一度あるかないか、というほどのもので、僕らは生まれついた族の閉鎖的な社会で生きる。閉鎖的、というのは、閉鎖的にならざるを得ないからであって、求めてそうしているわけではない。
「異なる族同士が出会い
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