「欲望と記憶、死と再生」のためのノート(批評祭乗りおくれ作品かもしれません)/N.K.
ことばは、内容(意味されるもの)が空虚になったと詩人たちに判断されて、ことば自体を問題にし始めた。ことばがそれ自体を問題にするのだから、意味されるものは一義的なものではなく、メタレベルのものになる。本来ならば他を指し示すためのものが、自己のみを指し示し、意味されるものを喪失した抽象的な世界が繰り広げられる。仮想空間と言っていいのかもしれない。
戦後の歴史の上では、戦後詩には、戦争という記憶・指し示されるものがあった。おそらく死や再生というモチーフが共有されていた。戦後詩の登場以降は、それに拮抗しようとすれば、身近なものが戦争に拮抗すると歌うか、ことばが指し示されるものを欠いたまま世界(もしく
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