殺戮のスモウ取り/オノ
り押さえるんだ!
そうじゃなきゃ無駄に走り回ったりするなよ!」
私は叫んだ。しかし、その他の奇声、怒声のほうが
はるかに大きかった。
「ギャー!誰か助けて!」
私のすぐ前方で奇声が上がった。
「相撲取りだ!そこにいるぞ!」
「やだ!死にたくない!」
「死体が転がってるぞ!」
あちこちで怒号が飛び交った。
どの声も、理不尽な死に囲まれた境遇に対する
怒りと恐怖に満ちていた。
「逃げろ!ロビーにいても皆殺しだ!
管理室を目指せ!」
そんな声がしたが、相変わらず人々の目指す方向はばらばらで、
それゆえにますます状況は危険になっていった。
「美穂子は・・・」
わたしは必死
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