殺戮のスモウ取り/オノ
 
必死に美穂子を探した。
きっと美穂子の車椅子は、雪明りを反射してきらめくはずだ。
車椅子の美穂子がこの混乱に巻き込まれたら、ちょっとした
怪我では済まないかもしれない。
「美穂子ーーーー!!どこだーーー!!!」
私は叫んだ。
他の人も皆、各々の探す人の名前を叫んでいた。
もっとも、その一部は既に事切れているはずだった。
「どうしてこんなことに・・・」
私は自分の運命を呪った。
もうどこへも引き返すこともできない。
せめて美穂子だけは守ってあげたい、その一心が、
その一心だけが私の体を衝き動かした。
混沌とした暗闇の中を夢中で走り回った。
ちくしょう・・・この殺戮はいつまで続くんだ。
本当に怖いでごわす。
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