走れ、走り続ける。/ブライアン
 
こにあり、言葉にした瞬間失われていくような高揚感の中にいる。夜明けは幻なのかもしれない。一方日没は、言葉そのものでしかない。一日の忘却。かつて、という前置詞で語られるようになる一日。体験の忘却が、一日を語らせる。かつて、と。
 夜明けの瞬間波は、太陽の光を反射させたり陰らせたりする。四方八方に太陽の光は放たれる。ほとんど歩くスピードで走る。夜明けの海岸。とても乾いた空だった。なぜだろう。海はこんなに近くにあるのに。こんなに海のそばを走っているというのに、どうしてこんなに渇きを感じるのだろう。朝の光は友人の車を照らす。路肩に銀色のワンボックスカーが停まっている。窓をたたく。友人は眠っている。あくび
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