走れ、走り続ける。/ブライアン
レーカーに乾いた風が当たる。
ひざの後ろの筋が引きつりはじめる。友人の車で休憩をしながら、ひざの裏をマッサージする。眠たそうな友人は、もうすぐ夜明けだな、と言った。聞こえていたはずの声を騒音の中に投げ入れた。友人は静かにラジオをつけた。天気予報、流行の曲。ニュース。あくびをする。
国道6号線は海岸と並行して走る。夜明けが近づくと海岸線が橙色に光り始める。海は美しかった。それは大げさなものではない。夜明けと日没の海はどこでも美しいに違いない。夜明けが運ぶものは未知の一日への期待であり、日没が運ぶものは、既知の一日の後悔だろう。夜明けは言葉を持たない。言葉にすることの出来ない一日がそこに
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)