走れ、走り続ける。/ブライアン
 
り坂が続く。陸上競技場は高台の頂上にある。競技場に近づくに従い、上り坂の傾斜は急になっていく。山から吹き降ろす風と急な上り坂が、前進する体を止める。背後には海が見える。
 山間の細い道は日陰だった。日差しの当たらない場所はとても冷えた。汗が冷たく体の熱を奪う。まだ3月だ。雪が降らないこの地方といえども、太陽が当たらなければ晴れているとはいえ、寒い。太ももの横をこぶしで軽くたたく。あと2周だ、と思った瞬間、その言葉を押し殺す。ゴールを目指してはいけないのだ。どこまでも走ること。どこまでも走り続けようとする。ゴールと正面から向き合ってはいけない。ゴールが目の前に見えれば、たいていの場合、心に甘えが出
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