雲にのったポポ/みつべえ
川が、陽を照りかえして黄金色に輝いている。
ふいに巨大なジェット旅客機が近くを通過した。
「ニアミスだあっ!」雲が絶叫した。
ジェット機がおこした風にあおられて、雲は失速し、錐揉み状に百メートルほど墜落した。
失神しそうになりながらも、ポポは必死に雲の背中にしがみつく。雲はやっとこさバランスを取りもどした。
「信じらんない。雲が落っこちるなんて」
ポポがなじると、ちょっとだけプライドを傷つけられたのか、雲が弁解がましく言った。
「飛ぶものにとって、飛行と落下は別のものではないよ。ほら、水鳥は魚を獲るために水面まで急降下するだろ。そのとき鳥は落下する自分を意識していない。なにしろ水
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