雲にのったポポ/みつべえ
そして、ポポの頭に無遠慮に手をおいて、髪の毛を撫でた。
ポポは、そうした大人の挨拶が嫌いだった。その手の下から、すばやく走り出ると、ふりむいて言った。
「虹を見てるの。一人でも淋しくないの。すぐ近くに住んでるの。ママはホケンのガイコーに行ってるの。だからあたし、迷子じゃないのよ。わかった?」
大人は肩をすくめ、あきれ顔で答えた。
「わかったよ。じゃ、バイバイ」
大人が行ってしまうと、ポポはまた虹を見はじめた。
と、下の方から赤いものが、ふわふわのぼってきて、ポポの鼻先をかすめた。
「あ、フーセン」
ポポは、とっさに手をのばし、風船がしっぽのように垂らしている糸をつかもうとし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)