嘔吐/乱太郎
 
咳き込んでいるのは僕から逃げ出したいから
なのだろうか。僕の身体はもう値しないもの
になりつつあるのかもしれない。濁音が空を
汚す。ひとつ。暫らくして、またひとつ。藻
みたいにドロドロして、蝕んでいる感性。い
や、勝手にそう思い込んでいる不確かな何か。
僕は僕を裏切る。いや、僕はまだ僕を掴んだ
こともない。

  /石のさえずる音が。午後を閉じ込める
   ように。/


吐いても吐いても、再製してくる汚物。言葉
が躊躇いがちに脇を通る。痩せ細っていくの
がわかる。喉の奥で響かせる警告音は、誰に
聴かせようとしているのか。もう遅い。いや
もういい。僕は此処でモーツ
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