蛍/ダーザイン
き凧のように静止して
ぼくらも時間をとめたように
肩をならべて座りこむ
海の轟きと
ひかりが
ぼくらをみたす
波打ち際に転がる大きな流木を指さして
彼女がたずねる
あれどこからくるのかしら
さあどこからくるのだろう
彼女のひざに顔をうずめる
やわらかくて
あたたかくて
目を閉じると
海の轟きと
彼女のぬくもりの中に
ぼくは
ぼくはすみやかに消える
ねえ鯨こないかなあ
さあどうかしら
ねえ海近づいてきているみたいよ
潮が満ちて
灰色の線が
波打ち際の泡が
ぼくらのほうに近づいてきていた
彼女が集めた色とり
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