蛍/ダーザイン
とりどりの小石が
星座のように灯ると夜になった
風が冷たくなって
彼女は胸の前で掌をにぎりしめ
ふるえている
ちいさないのちのおもさで
ふるえている
彼女の肩を抱いて
その掌の中に
ぼくの手も握りしめられて
ぼくらはじっとふるえていた
星座がぎらぎらと輝いて
聖像画のようにぼくらを照らしだした
海の轟きの向こうに
あべまりあ
きしきしと星のきしむ音が聞こえる
ねえ蛍とんでいるわ
ふりかえると
原生花園に
何万もの蛍の群れが
ひかりの標のように点灯しており
海風にのって
いっせいに空へと舞上がった
天上の星々と
蛍の群れと
ひかりの雲の中にくるまれて
握りしめていたぼくらの手を
彼女がそっと開く
すると
ぼくらの掌の中からも
無数の蛍が
金色のひかりを放って
舞い出てきた
ひかりを浴びて
彼女の顔も
黄金色に映える
ねえ蛍とんでいるわ
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