性交/天野茂典
うに。
繊細な糸だ。君もぼくも裸で生まれてきた。体毛も退化し,衣服をまとうようになった。
裸を隠すためではない。地球の外気から体温をまもるためなのだ。月光浴で裸を見せる女もいるのだ。太陽の下ですっぽんぽんになるのも決して悪いことじゃない。森から草原へ出奔した人類の宿命。二足歩行の貧しい足裏。からになった前肢の面影。いつも抱っこしてたじゃないか。樹木を。抱えるために人の体はできている。あれから四百万年。今でもその記憶は新しい。最高のファッションショーは裸がいい.会場があたたかければ。つたのようにからめてくれ、君の髪の毛で、ぼくはジャックと豆の木のように空をめざして虫
にナルダロウ。グレゴール・
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