機械にまつわる夜の話/かいぶつ
 

ひとつの珍奇なオブジェとして
沈められた

廃物のように沈められたその機械に
ネオンテトラは警戒し
近づこうともしなかったが
しばらく経つと水槽の中はまたいつものように
穏やかな鑑賞用の小宇宙を成し
私の唯一の趣味として充分に機能していた


ある日の夜
妻も子どもも寝静まった頃
私は喉の渇きを訴えるように目が覚めて
冷蔵庫の中にある水を求めて起き上がると
水槽から聞き慣れぬ
妙な音がしていた

何の音だろうかと水槽へ近寄ると
もうその存在すら忘れかけ
何の役にも立たなかった機械の
アルミで出来た小さなモーターが
断続的に駆動していることに気が付く
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