機械にまつわる夜の話/かいぶつ
 


私はなぜだか目が離せず
それは徐々に力強さを増して行き
エンジンがかかるようにモーターが
連続して回りだすと
ほんの数秒だけ内蔵された豆電球が鋭く光り
水槽の魚と私を眩しいくらいに
大きく照らした。

動揺したネオンテトラは
砂煙をあげるほど不規則に動き回り
私も同じように水中の乱れが鎮まるまでは
速まった鼓動を抑えられずにいた。


一瞬の出来事のようであったし
何時間もの出来事のようでもあった
夢のようであったし
単なる立ちくらみのようでもあった

私は窓を開けて
そよ風に当たりながら遠くの夜空を見上げた
星ひとつ出ておらず
誰も見上げていないかのような
異様につまらぬ夜空だった。

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