目玉焼きと会話/榊 慧
プ椅子をどこかからか貰ってきてそれをずっと使っている。「ト―はでもおいしい目玉焼きを焼いた」俺は食べ終わった皿をト―に見せた。醤油と半熟の黄身がついている皿。「死にたい。」「おいしかったよ」「そうか。ありがとう。」僕は死にたいよ。目玉焼きみたく焼かれて食べられて死んでしまいたい。
ぽつり。ぽたり。「なにをしているの」「ここを切ってみたんだ」「何で」「カミソリ。」僕はずっとなんでかリストカットとかアームカットとか言われてる類のものはしなかったんだ。どうしてもっていうときには鉛筆をナイフでひたすら削ったりね。でも一回ふとやってみてそのあとどうしてもってときがきてやったんだ。誰も知らないよ。見せて
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