目玉焼きと会話/榊 慧
そのうち乾くよ。」死にたいって祈ったらその祈った対象物がそれにむけてなんらかの努力を僕に課したりはするのだろうか。ト―はずっと考えている。
薄っぺらな精神世界しか僕はもとから持っていないんだよ。だから死にたいっていうのが入ってきたとき他のものは出ていってしまった。それだけなんだよ。だからこれは僕がうだうだ言っているこれはどこにも収容されずに消えていく。僕はせめて書きたいと思ったんだけど全然書く言葉が出てこなくて詰まってばかりで書けなかったんだ。今でもそのままで脱却できていなくて書けないんだ。苦しいよ。ト―は上半身裸のままそこにバスタオルを巻きつけるようにしてパイプ椅子に座った。ト―はパイプ椅
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