入れ物/アンテ
たおさまった
笑顔
おねえさんは
ちゃんと帰れたの?
唇の動きを見るまでもなく
そう言ったのだと自然にわかった
入れ物がなければ
中身をどんどん捨てるしかない
体のなかに詰め込める量なんて
たかがしれていて
次から次へと新しいものが増えるから
ぽろぽろ体からこぼれ落ちて
なくなってしまう
それを嘆く暇があるなら
自力で入れ物を手に入れればいいんだ
中身にみあう大きさの入れ物を
判らない
本当にそうなのだろうか
きみはなぜあの丘にいたの
女の子はぼくの手の動きを不思議そうに見て
二度うなずいた
おねえさんが帰ってきたのよ
マユコもツキく
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