ねこ/itukamitaniji
 
付けて
ヒールのまま飛び出した 雨はもう上がっていて
雨上がりの匂いがする街を 不器用に走った

でももう遅いみたい 猫は居なくなっていて
空っぽでボロボロな 段ボールが残っているだけ
泣こうとしたけど 何故か涙が出なかった
そんなこときっと 誰も望んじゃいないって

あいつが歌った歌
合わせて歌う猫の鳴き声
頭の中で響いて聴こえてる
私だけに





ねこ(magic name)

慣れた街を離れるのは はじめてのことだった
それは同時に 彼女と離れることになるわけだけど
列車が叫び声を上げて ホームに飛び込んできた
何かのモンスターが 吐く息み
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