ねこ/itukamitaniji
 
息みたいな音を上げて

トビラが開いて 何処か違う世界の空気が噴き出した
それを吸い込んだら 見知らぬ僕になっちゃう気がした


まさに出発する列車 窓の外には走馬灯のように
この街に置いてゆく 色んな僕が手を振って消えてゆく

さっきまで僕が居た場所に 見覚えのある猫が座って
僕のことを見ていた 雨はもう上がっていたんだ



ある雨の日に僕ら出会ったんだ
お前の名前は『サン』
雨が上がるようにと祈りを込め
彼女がそう名付けたんだ

お前の好きだった歌
お前に破られた読みかけの本
一週間居なくなったことや
何食わぬ顔で帰ってきた夜

何もかも懐かしい
でも全部この街に置いてくよ

お前の名前の魔法が
いつまでも続いてどこまでも
晴れた空の下を旅できるように
僕も祈るよ

歌うよ
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