ねこ/itukamitaniji
ずっと考えていた
コンビニでビールを買って アパートに帰った
まだ猫の匂いと あいつのタバコの匂いがする
いっぺんに全部失った だけど本当に失ったのは
紛れも無い 私自身だったかもしれない
テレビからよく聴いてたあの曲
私と猫とあいつと
かばんの中には いつも辞表を忍ばせておいた
出す勇気もないから 底でくしゃくしゃな紙切れと化した
あいつの声が聴こえる 勢いが大事な時があるんだって
そう言ったきり 何処かへ旅立って行った
この狭くて愛すべきアパートに
私と猫を残して
きっとほんの少しだけ 狂っただけね
でも次の日になって 紙切れを叩き付け
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