長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
しながら良雄くんはティッシュを掴む
檻に気づいた時が思春期の始まりではなかったか
檻に通学し檻に帰宅する
大人の管轄下にある場所は全て檻であり
大人によって機能しているシステムは罠だ
拘束を嫌う獣達は押しつけに牙を剥き、狎れ合いを拒絶する
連中の仕打ちにどれだけ苦しめられて来たか、
偽善と欺瞞にどれほど踊らされ傷ついて来たか、
これ以上脅迫や甘言に屈しはしない
もうてめえらなんかの思い通りにはならない
暗い決意で子供達は誓う
猛々しい孤独の中で高らかに復讐を宣言する
ところで孤独な季節については
配偶者に先立たれでもした老人が詳しい筈だが、
じき火葬炉へと消える者
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