長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
塊は腫瘍のように成長し
鏡を覗き込む代わりにじっと顔をうつむけていると
その塊は底暗い穴となって眼前に現れた
何と不定形で不細工なナルキッソス
そいつが自分にとって何者であり、本当は何を欲し
他者に対して何であるのか
肉付けするには余りに多くの体験と修飾語が必要な為
十代のスプラウト達は非常に苦しまねばならない
まだしもお喋りと偶像崇拝好きな少女達は
不定形な年令の腫れぼったくて垢抜けない自分と気分を発散する時間を
いくらか持てるが
それでも対人の煩わしさと、窮屈な関係性の閉塞感に
生きて行くのが嫌になる時がある
この二重生活の果ては愚鈍で汚れた成人像への統合なのか と
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