長編詩 成人の日に寄せて(抄)/salco
 
道は無い
胸突き八丁の自己防衛だ
虚実の辻褄合わせは知能を鍛える
ボロが出ぬよう起承転結を組み立てるには更なる経験値が要る
無論、怯えたそぶりを見せてはならない、答えに詰まってはならない
こうして人間は後天的にすべからく役者修行に勤しむが
だからと言って調子に乗って朗々と謡い過ぎてもいけない
何にせよ、虚構には優れた脚本こそが枢要なのだ
おおよそ観客の鑑識眼など知れたものだが
真新しくてダサいにも程がある学生鞄には
既にそうした小さな嘘や秘密や裏切りが
時には親の財布や近所の店からくすねた物と一緒に
しこたま詰め込まれていたものだ
まだまだ大人どもを出し抜く事は出来なくと
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