無縁塚の秋/こしごえ
 
するまないたを
たたくほうちょうの音がする
のはしあわせか
だれもかれもひとりで生まれて来る
とは限らない
一卵性双生児
の産声に耳をかたむ かせる
永い夕暮である

あのさきの
ゆくえ
不明
おそろしく
冷たい肌にふれる
生ぬるい 空気につつまれつつ
晴空に
透ける硝子の鳴き声は
いびつに
影の澄み
解けちまう
ゆわゆわと
あがってゆく
ここへ
おすわり
だれも問わぬ
白日夢を
さめる
子午線の群星は
しずけさをささやく
うしなわれた祈り
ひとすじの
光によみがえる
いつかしら
闇におおわれ
きらめくものは
果てしない
墓標
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