林檎のある浴室/リンネ
笑い声がますます羞恥心を高揚させ、私のからだは驚くほど紅潮していた。
湯水の中では、女の素足がうねっている。質感といい、動くさまといい、まるでイカのように滑らかだ。林檎が、波に押されてじっくりとこちらに近づいてくる。私は女の足により、しだいに絶頂に迫りつつあるが、それにつれて、目前の赤く丸い果物が、心なしか膨らんでいくように見えた。そしてよく見れば、その果実の球面には、向こうの女の顔が、そっくりと映りこんでいる! その女の首が、のどやかに、こちらを見てにこにこと笑っていた。
ああ、これで女の顔がようやく思い出せる、と私は目を細めて覗き込んだ―――が、そのとたんである。私は興奮のあまり、
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