ガラス水槽の中にて/01
半端に浮かんでいる私を沈めようとする海から。
波が私の足を引っ張る。
冷たい手、だ、冷たい冷たい冷たい、痛い痛い痛い痛い痛い。
ねえ、あのまま突っ立って、私の事も切り裂いてもらえばよかったのかな。
だってね、結局砂に埋もれてるガラスを踏んでしまって、足から血が出ているんだよ。
これからずっと、歩くたびに足が痛むんだ。ズキズキズキズキ。
これからずっと、歩くたびに真っ赤な足跡が残るんだ。ペタペタペタペタ。
けれどこの海は真っ赤に染まらない。透明な海水でガラスケースを隠して、透明な海水を通して私達は楽しいんだとその笑顔を見せびらかしてくるんだ。ずっと、ずっとずっと、ずっとずっとずっと。
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