ガラス水槽の中にて/01
 

不快な感覚に頭が支配されていく。その片隅で、さっき話したあの顔に、嘆く。

「それはゆめだよ。」
波を蹴り飛ばす音に混じって、そんな声が聞こえた気がした。






浜。
砂浜。
感覚の無い足が飲み込まれて、そのまま寝転んだ。
冷たい感触が頬に突き刺さる。目の前にはガラスの破片が、いっぱい。微かに波の音が聞こえる。
破片だらけで乾燥しているここには誰もいない。誰も来ない。
私の足跡はあの海に飲み込まれて、栄養にも汚物にもならず、本当の意味で“消化”されてしまうんだろう。
[夜にここに来て、月の浮かぶ海を眺めてみたい。]
それはもう、過去の話。
そのうち私
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