ガラス水槽の中にて/01
 
は波に飲み込まれても大丈夫だよ。もうこの海が棲家だもの。でも貴方はどうかわからない。」
「どうして?」
「それは私が聞きたい。ねえ、貴方はこの海に住んでいるの?それとも、ただ遊びにきただけなの?」
「……?」
「腰まで海水に浸かっている。ここに住む気がないのなら早く陸に戻りなよ。」
「陸に、戻れないの。だって私は「それはゆめだよ。」

高波が私達を飲み込もうと、襲ってくる。
その波についてきたガラスの破片が、見慣れた顔を切り裂いた。




寂しいという気持ちを忘れて、ただただ走った。ただただ逃げた。
私を切り刻もうとするガラスから、群れて笑っている人たちから、中途半端
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