十一月の童話/salco
歩いて行き
すっかり日も沈んだ頃
巨大なゴミ処理場に辿り着きました
おもしろおかしく笑いながら
色んな不要品からなる山を登り
テレビや冷蔵庫の頂上に腰を下ろすと
男は破れかけたポケットをまさぐって
昼間見つけておいたサンドウィッチを
少女にくれました
少女が半分に割ろうとすると、それを制して
モク拾いで集めた煙草の一本に火を点けて
ぷかりぷかりと
煙を吸っては吐き出しました
そのように身を寄せ合って二人は長らくの間
空に瞬き始めた星達や
遥かな街明かりを黙って眺めておりました
闇が降りると空はすっかり深海のようになって
大地の貯えていた日中の熱は見
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