ねじ穴と球体/魚屋スイソ
り、しみ込んでしまったものは諦めるしかなかった。
部屋の中央にあいたねじ穴をしばらく観察してから、おとこは眠りについた。意識がしぼみきるまでやや時間がかかった。なにものかが顔の内側にすべりこみぎゅっと爪を立てていたた。おんなの、サイレンのような赤くうるさいにおいだった。
発光するほどしろい球体のなかで、まぶたを縫い合わせてある少女と少年がくりかえし交わっている。
つきだした舌からしたたる唾液が球体の底に溜まり、そこへ少女の膣から少年の精液が垂れ落ちる度うすい波紋が形成されるのだった。
球体は脈うっていた。
ふたりは細い四肢をからませ、糸くずのような姿勢のまま性器をこすり合わ
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