冬支度/salco
 

だから私はこんなに軽いし堅牢なのだ
冬じゅう外を眺めながら
甘酒を飲んで過ごす
酒粕も白
砂糖も白
口直しに食べる雪も白
白いものばかり食べているので私も次第に白くなる
白いものばかり見ているので瞳も段々白くなる
積雪で入り口が塞がれ暗転したら眠る
昏々と眠る 夢も白いのだから
氷の天板に頬を寝かせて
全てが止まった白の次元で


空の青が緩み
雪が溶け出し音が始まる
そんなもの聞かない 
眠っている
日射しが触手を伸ばすにつれて
地上に露われ天井が薄れ始めて
汗が外を伝う
小さな穴がぽっかり開いて
光の錐がこめかみに突き刺さっても
ぐっすり眠っ
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