冬支度/salco
 
眠っている
家は外側からどんどん痩せ縮み
白を失くした滴があちこちからぽたぽた垂れ
また一つ、二つと当たる度
私も氷の彫刻のように溶けて行く
順序としてまず頭が消える
日に日に暖気が緩衝帯を侵食し
土色の腐敗も開始する
けれどあの時から眠ったままなのだ
外で何が起ころうと知った事ではない


雨が去り夏になり
四囲は乾いて水蒸気もない
けれどもかまくらの潰えた場所には
珊瑚のように骨が在る
ほらね、白い
散乱は占術の痕跡か成行きの符丁めいて
だから遺書だとも言える
そして木々の葉が黄に紅に染まり
冷気がひっそりと満ち始め
大地が湖底に沈んだ時
胸をすり抜けて吹く風がめぐり来たら
似た女がここにやって来る

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