バベル/リンネ
まっている。思ったよりも複雑な構造である。そういうことなら、あえてここで一眠りでもしようかと思う。きっと建物にしてみたら予想外の行動だろう。もしかしたら、愛想を尽かして私を外に放り出すかもしれない。マタレテイル、マタレテイル。寝転がってみると、床が妙に柔らかい。女のクチビルのような感触だった。
……マタレテイル、マタレテイル。まただ。空からあの息が吹いてきた。その息の、何と臭いこと! 空はますます近くに迫ってきている。飛び起きた私は、息を止めながら、すがるように近くのインターホンを押した。すると、待っていたようにドアが開く。急いで中に逃げ込む。玄関に、見覚えのある木彫りの人形が置いてあった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)