バベル/リンネ
 
つけば、なんと、私は階段を上っていた。普通なら、大いに混乱するところであるが、私はやけに分かりよく、その状況に納得していた。どうやらこの建物は、蜃気楼のような、まやかしの建造物らしい。それは入り口も出口もない、ふさがった迷路である。マタレテイル、マタレテイル。それならば、だまされるがままになってやろうと思う。どうせならこのまま動揺せずに上っていくのもいいかもしれない。そうして最上階に行き着いたところ、何食わぬ顔でまわれ右をし、再び下りはじめるのもいい。
 だが、どうしてなかなか、最上階に着かない。下りたら最後、もうあそこには戻れないということだろうか。しかし一方で、空との距離は不快なまでに狭まっ
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