コメディ / ****'04/小野 一縷
る為
小船から次々と 鉛色に輝く海面へと 身を投げる
卑しい希望を孕んだ 彼等の信心に 海を汚された
ポセイドンは怒り狂い 黒い渦で
彼等の小船を 深い暗黒へと 突き落とす
ポントスに守られる 白から紫へと
変色する宝貝は 知っている
海神の貪欲な慈愛の罪深さを じっと静かに
深く小さく 殻の奥底に
その秘密を飲み込んだまま 少しずつ
海の史実を生育する 真珠のように
彼の地の上空を飛ぶ 哨戒機の翼の輝きに
冬鳥は心地好く凍え 極寒の北東へと 想いを馳せる
森がマッチの火のように ぽつりと闇に燃えている
獣たちの死体から上がる熱気と煤で
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