コメディ / ****'04/小野 一縷
 
で 月光が滲む


剥き出しにされた雷管の生々しさに ハルピュイア達は脅え 
冷たく暗い悪夢に 苦い汗をかいて 目覚める 
予言通り 人間が機械に狩られる刻


アレスは とうとう戦地から 還ってこなかった
神であれ 時代の流れという速射砲から 逃れられはしない


神の葬列を纏う大気の重みは 雨雲となり雷鳴を轟かせる


暦にはない 狂った日蝕の色合い 白と黒の捻れる舞踏


呪われたアバドンが運んでくる 痛みの光を放つ輝石
細胞を黒ずませ 若者には早く 老人には遅く
死をもたらす 蒼い石


融ける 仮面 眩しい霧の中 晒される 
素顔が 焼ける
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