コメディ / ****'04/小野 一縷
 
陥ったナルシスが見る 酷い酔いの夢
燃え上がる炎 垂れ落ちる血 誇り高く輝く艶
美の原色を 赤く深く 爛々と 照らし出す


神々の墓碑に刻まれた 聖印が沈黙している
忘れ去られた その静かな輝きは
神でありながら死した 悲しみの重さ


魔物を象った噴水 
口から流れ出る水飛沫 薄っすらと現われる虹の道が 
空へと伸びてゆく 遥かカイルスへと その道は続いている


終わりのない戦 不安と怖れ 絶望
悲運の兆し 絶対の命令が 蒼黒い鳥の姿を借りて 
司令塔から 飛び立つ 
すると その不吉な羽ばたきは 暗い竜巻になって 
野戦病院のテントを 軽々しく吹き飛ば
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