国道 点滅する信号線/ブライアン
潟に延びている。かつて、上杉藩の財政難を苦に逃げ出した農民達が、伊達家に救いを求めようと辿った道。その半ば、上杉藩の役人に見つけられ、処刑された道。
かつて、イザベラバードが訪れ、東洋のアルカディア、と称した盆地には、天領と上杉藩領との間で揺れ動いた農民達の血が沁み込んでいる。秋、収穫時期になると、盆地一体の水田は黄金になる。稲穂だ。今や全国有数の米の生産地となったその盆地に、赤いトンボが田の上に群がる。トンボは稲穂に触れ、尻尾を赤く染める。稲穂から怒りを取り除くためだ。発展は敗者にしかない、と言った哲学者は誰だっただろう。彼らの血は深く地中に蓄えられた。長い冬が来て、四方に囲まれた山々に雪を
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