国道 点滅する信号線/ブライアン
雪を運ぶ。春、日差しが強くなると、雪は溶け出し、地中深く、地下水となる。地下水は扇状地を作る。扇状地は豊富な養分を蓄えた水分と、発展に欠かせない敗者の血を織り交ぜ、黄金の土地を作る。
トンボは秋の風と共にやってくる。最後に残された彼らの血を吸い上げるために。そのため、この地に夕焼けが起きる事はめったにない。青白い昼の光を保ったまま、太陽は山に沈む。これ以上、赤く染めてはいけない。既に起きたことを再び繰り返す必要はないのだ。昼のまま夜に変わっていく中、住民達は茶の間に集まる。父はビールを飲み読売巨人軍を応援するだろう。母は台所で家事をしている。祖父母はそれぞれの場所で、手仕事をしている。今や必要
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