戦時記/小川 葉
 
増えていく

午前零時
いつものことなのに
隊員の兵士がキレている
私も私で
栓を抜いた手榴弾を手にしたまま
その時を待っている

午前二時
やっと敵が現れた
私は握り締めていた手榴弾を
反対方向へ放り投げる
いつものことだ
これで真夜中の戦闘を乗り越えてきた
さっきキレていた兵士は
やはり手助けが必要なのだろう
マシンガンを四方八方に打ちながら
ただ震えている

午前三時
私たち小隊は勝利した
私は誰よりも早く
一目散に家に帰る

家に帰ると
妻と息子が眠ってる
私はリュックに背負っていた
大切なものを思い出している
ひとくち食べてみたけ
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