戦時記/小川 葉
 
たけれど
腐った味がした

ごめんなさい
今日も時間がなくて
弁当食べなかった

あやまってるその間にも
爆弾が落ちている
窓のカーテン越しに
遠い光が二人を照らしてる

二人が眠ったまま死なないように
私は二人の目を塞ぎ
眠ることにした
朝になれば終わってる
朝になればと終わってると
祈りながら

朝、ピカドンが落ちている
とても気軽に
いつものありふれた朝
妻がパートに
息子が
保育所に出かけていく

私も戦場に出かけていく
背中に背負った
大切なものを
もう二度と忘れてしまわないように

戦争は
まだ続いている
 
 
戻る   Point(0)