戦時記/小川 葉
 
 
 
午後零時
敵の偵察機が空を旋回してる
ジャングルの中に
野営したのだが
見つからない可能性は零ではない

午後三時
遅い昼休みのはずが
通信兵が
微弱な音波をキャッチする
近くにゲリラ兵がいるようだ
油断はできない

午後六時
戦闘は終わらない
家では妻と息子が
夕食を食べている頃だ

午後八時
一段落してコーヒーを飲む
リュックに大切なものを背負ったまま
それが何なのか思い出せない
これからおよそ六時間以内に
本格的な戦闘があることを
隊長から知らされる

午後十時
まだ戦闘ははじまらない
値上げしたというのに
煙草の数が増え
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