熱/小川 葉
むかし泊まった
民宿の部屋で
小説を書くことにした
スキーに来たのに
雨が降っていて
しかたなくこの民宿に
もう一泊することにしたのである
窓から雨の雪景色を見てると
夕飯の準備ができたので
食堂まで階段を降りていく
階段の下には
エロ本が積まれていた
私は私の息子のように
ジンギスカンを食べた
食べても食べても足りなかった
まだ子供なのである
父は私の食べっぷりを見て
とても喜んでいた
部屋に戻る途中
誰かがエロ本を部屋に持ちこんだ
気になって仕方がなかった
外はまだ雨が降っていた
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