Queeeen/salco
であり、頭上の暗雲が
吹き払われ晴れ間を望むかのようなすがやかさがあった。するとつい先日
まで吹き荒れていた肉欲が、まるで幻のように体内から一掃されているこ
とにふと気がついた。この不可思議な平らかさは一体何であろう。
それにしても次代の君主の寓居となって腹を占拠され、薄鈍(うすのろ)のように苛
まれていた十月の間が女児であれば、一度で済んだものを。
「左大臣をこれへ」
あの占者。姫君を授かるとのたもうた彼奴にはどんな褒美をくれてやろ
う。おのれの陽物を切り取らせて虚言の口に食わせようか。あの浅ましい
布袋腹をかっさばいて産の苦しみを教えてやろうか。ああ忌々
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