Queeeen/salco
子を産んだ。まじないばばあは役目を終え、産
声だけを背に負うて西の山へ帰って行った。
と言うのは死産児でない場合、その臍帯と胞衣さえもが国家経済とばば
あの蓄財には乗らず、無事の誕生を感謝し健やかな成育を祈念する為に神
々へ捧げられることになっている。つまり呪術師とは別の、ある種の権威
をまとう祭司が与る神殿で、石彫の祭壇に上げられ高坏で煙となって神々
の口に入るというわけだった。
「お健やかな王子様のご誕生にござります。誠にお目出とうござります」
両膝の間で老いぼれの侍医長が言い、すると殺される猫のようなかかめ
きが起った。
王子とな?
眼前に突き出された新
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